旧統一教会問題や当面の経済対策などの影に隠れがちだが、防衛関係費を大幅に増額する議論が行われている。2027年度には海上保安庁の予算や関連する科学技術予算などを含めて国内総生産(GDP)の2%に引き上げることを目指す。
大手紙の報道によると5年間で40兆円規模。赤字国債でまかなうのはふさわしくないということで、歳出削減で捻出しつつ、増税を検討するという。予算の組み方自体が、〝2%〟の参考にしたEU諸国のものに近づいていくかもしれない。
昨今の情勢を考え、防衛費の引き上げは致し方ないものの増税は困るという人は多いはず。また、歳出削減で社会保障費が削られればその分の負担も増える。
議論の背景に「継戦能力」という話があるが、武器弾薬を2年分備えたとしても、石油や食料備蓄が半年や1年しか持たなければ、意味がない。国民に万が一の時のビジョンを示した上で理解を求めることが必要だろう。
一方で、軍縮に向かった取り組みも重要だ。武器弾薬に使う費用を福祉や生産に向けられる方が国民の幸せに寄与するのは論を待たない。外交力に大きな期待を寄せたい。
(M)