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社説「混乱の常態化は信頼損なう」

 新宮市議会の9月定例会は、初日から異様な光景をさらした。議長不信任決議案、市長不信任決議案が相次いで提出され、ともに否決された。6月定例会に続く混乱であり、議会がまたしても無意味な対立の舞台となったことに、あきれ顔の市民は多い。本来、議場は市民生活に関わる課題を議論し、地域の将来に責任を持つ場である。物価高で苦しむ市民をよそに、そこで繰り広げられたのは政策論争ではなく、1人の重鎮議員が声を張り上げ自己の主張を繰り返し、別の重鎮議員がそれに賛同するだけ。これでは市民不在、議会の私物化と言われても反論できない。

 6月定例会でも、議会運営の混乱や不規則発言が問題視され、元市議らが抗議書を提出する事態に至った。議会の品位と自浄能力が問われた直後に、9月定例会でも同じ構図を繰り返した責任は重い。議員がまず果たすべきは、自らの立場や勢力争いではなく、市民から託された負託に応えることだ。議会の混乱が常態化すれば、市政全体への信頼も損なわれる。

 このような空転は単なる見苦しさにとどまらない。議会が対立に時間と労力を費やせば、本来審議されるべき予算、条例、決算への目配りが薄れる。実際、初日に予定していた議案の上程・審議が始まったのは午後3時10分。それまでの間、当局幹部職員はひたすら着席して”演説”を聞かされているだけ。会議が終了したのは午後5時をまわり、本来できるはずの仕事が停滞した。無駄な人件費だ。市民が求めているのは、不信任案の乱発ではない。物価高への対応をどうするのか。少子高齢化や人口減少のなかで地域医療や福祉、子育て支援をどう守るのか。南海トラフ地震への備えをどう進めるのか。これらの暮らしに直結する課題について、具体的で責任ある議論を尽くすことだ。市議会の役割は言うまでもなく、市政を監視し、議案を審議し、市当局と両輪となって市民生活を前に進めることにある。本来の務めを忘れた今の市議会に存在意義はない。

 本紙では6月定例会の混乱に警鐘を鳴らし、「9月定例会は注目したい」と記していただけに残念だ。定例会ごとに掲載している一般質問はこれまで、一部議員による乱暴な言葉や品位に欠ける言葉も、読者に分かりやすいよう一般的な言葉に置き換えて報じてきたが、あまりにも本来の姿からかけ離れた市議会の現状を踏まえ、そのような配慮はやめるとともに、市民のための議論でないものは今後、内容詳細の掲載を控えることにする。県議会や他の市町村議会も同様。市民はもう、空転する議会に付き合う余裕はない。今後も議員らの自助努力に注視していく。

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