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社説「『お燈祭り』問われるモラル」

 新宮市の神倉神社例大祭「お燈祭り」が6日、斎行(さいこう)され、上り子(祈願者)が御神火を授かり、松明(たいまつ)を手に538段の石段を下った。伝統と歴史ある祭りに参加する上り子の大半は「神事に臨む」という姿勢で、運営する神社関係者や警護にあたる介釈人の指示に従って行動するが、今年は一部の上り子の行為が問題視された。

 強い光を放つスポットライトのようなものを持ち込み、山頂境内で神事が行われている間、周辺を明るく照らしていたという。複数の上り子が目撃していたほか、撮影場所にいた報道陣からも祭典関係者に報告があった。「漆黒の闇の中で神様の火をいただく、火の神性を畏怖する原始の信仰を伝える祭り」という本義に反するもので、上野顯宮司はじめ関係者は「大変遺憾」としている。
 
 歴史と伝統ある祭事は不変のものが多い。一方で、時代の流れに応じて変化させることもある。三重県尾鷲市の尾鷲神社で毎年2月に斎行される「ヤーヤ祭り」は、男性の参加者が身を清めるために全裸で海や川に飛び込む神事「垢離掻(こりか)き」が2024年から、水着などを着用しての実施に変更された。SNSなどで裸の画像が拡散され、犯罪の発生が予想されるとの警察からの指摘を受けての対応だった。
 
 お燈祭りの上り子の多くはスマートフォンを持って入山している。これも時代の流れで、持ち込み禁止にするなら麓の太鼓橋で身体検査をしなければならない。入山管理を行う奉賛会員にそこまでの負担を求めるわけにもいかず、時間的にも難しい。それならば、道中や山頂境内で待機中に撮影するのは構わないが、神事が始まってからのスマホの持ち出しや撮影は一切禁止にするなど、参加者のモラルやマナー向上を繰り返し呼び掛けていくことが大切ではないか。
 
 白装束に荒縄を締めるという容姿にも近年、乱れが出ている。今年の上り子の一部にも荒縄を締めず、パーカー姿での参加も見られた。白装束や松明はスーパーなどで販売されているが、販売時に正しい容姿や注意点について記した文書を配布するよう依頼するなど、運営側にも周知徹底を図ることが求められる。
 
 教育現場にもできることはある。神社麓にある神倉小学校では毎年、学校運営協議会の協力を受けてお燈祭り学習が行われている。草鞋(わらじ)作りを体験したり、神職の話を聞いたりするほか、穢(けが)れを払う意味合いで白い料理のみを食べる風習にちなみ「特別メニュー」の給食を食べたりしている。校長は「自分たちの新宮市は素晴らしいところだと知ってほしい」と期待するように意義ある取り組み。この取り組みを市内全校に広げることはできないか。市教委には、身近にある国指定重要無形民俗文化財(お燈祭り)を肌で感じる機会を市内全ての子どもたちに提供してもらいたい。子どものころに祭りの本義を正しく知ることは、上り子としてのモラルやマナー向上につながるはずだ。
 

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