新宮市の上田勝之市長が就任後初めて臨んだ市議会定例会は18日に閉会した。公約に掲げた、緊急物価高騰対策として市民一人当たり1万円分の商品券を配布するための予算案を最終日に追加上程し、承認を受けた。当初から早急に取り組むべき施策としていただけに、第一歩を踏み出せたことに安どしていた。
今定例会の一般質問には12人が登壇した。市議時代は議員席から当局をただしていた上田市長は、今回から執行部側で各議員の質問に答弁する立場となった。質問は市長の政治姿勢や公約に関するものが多く、それぞれに丁寧に答えていた。
一方で、議員側は重複する質問の際、何度も同じ答弁を引き出すより、違った角度から質問するなどもう少し工夫が必要と思える場面もあった。一般質問は自身の仕事ぶりを市民に知ってもらう貴重な機会。市民の声を届けながら、当局に対して要望や提案を行う場だが、より前向きな答弁を引き出すためには、形式的な質問にとどまらず、先進事例や参考事例を挙げながら、自分のまちに落とし込んでいくことが大切ではないか。
上田市長は掲げた公約を、すぐに実施できるものと、中長期で取り組んでいくものと分けて考えている。小中高校入学時や18歳時のお祝い金の支給については、今定例会で、新年度からの実施に向けて制度設計をしていると答弁があった。津波避難タワー建設は、住宅の耐震改修など他の防災対策事業も踏まえながら、地域住民や有識者らを交えて検討していく考えを示した。
"上田カラー"が表れるのは新年度予算からになる。現在、各課で新年度予算編成に向けた調整を行っているが、限られた財源の中で公約実現を含めた市民サービス向上がどの程度図ることができるのか、注目される。新年度予算を審議する来年3月の定例会では、今定例会以上に是々非々の議論が展開されることを期待したい。
また、国や県への要望活動、近隣市町村との連携など、市長として取り組むべき仕事はたくさんある。市議時代から現場主義を貫いてきた上田市長だけに、飛び回ることには慣れているだろうが、まずは職員をしっかりと束ね、議会と両輪で市政をより良い方向に進めるよう努めてもらいたい。
