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ヨーロッパから見た熊野 東大人文・熊野プロジェクト

 新宮市と連携協定を結ぶ東京大学大学院人文社会系研究科・文学部は10日、同市春日の市役所別館で、東大人文・熊野プロジェクト「ヨーロッパから見た熊野」を開催した。約50人が聴講。イタリアの研究者や映画監督ら4人が、自身の研究や作品と結び付けながら熊野の魅力を語った。

 主催者を代表して上田勝之市長は「世界的な感性や知見を伺える機会。私たちにとって貴重な財産となり、当地域の価値を再発見する機会になれば」とあいさつした。通訳は、同研究科の土肥秀行教授が務めた。
 
 マックス・プランク研究財団在フィレンツェ美術史研究所のゲアハルト・ヴォルフ所長は、熊野とジョージア共和国(旧グルジア)の巡礼文化の共通点について紹介。「熊野では自然そのものが信仰の対象になっている」と語り、山や海、川など自然の中から宗教観が生まれていると説明した。
 
 また、「近いものと遠いものが共存している」と分析。「例えば、ゴトビキ岩は触ることができるほど身近だが、その先には太平洋が大きく広がっている。熊野は地域に根ざした場所でありながら、遠くから多くの人々を引き寄せる」と語った。
 
 一方、ヨーロッパでは約1300年前からエルサレム巡礼が広がり、各地に新たなエルサレムを象徴する教会や巡礼地が築かれたと説明。ジョージアの巡礼文化を紹介し、「熊野と共通する精神性がある」などと語った。
 
 同研究所のハンナ・バーダー主任研究員は、海と山が交わる場所に注目した研究を紹介。芸術や地質学、環境学など複数分野を横断する視点から、「海と山の境界には多様な宗教や文化が集まり、新しい交流が生まれる」と述べた。ベネチアの宗教芸術や環境問題も取り上げ、「自然を守ることも信仰の一部」と説明した。
 
 フランスのリヨン第3大学でイタリア文学を教えるアレッサンドロ・マルティーニ教授は、自身が国境地帯で育った経験に触れ、「本来、境界とは人を隔てるものではなく、新しい文化を生み出す場所」と指摘。熊野についても「人や文化が交わる開かれたまち」と評価した。
 
 映画監督のジャンフランコ・ロージ氏は、脚本を先に固めず、土地や人々との出会いを重ねながら映画を作る自身の手法を紹介。「現実は想像以上に複雑で豊か。まず土地に入り、時間をかけて人々と信頼関係を築きながら制作活動を行う」と話した。
 
 最新作ではナポリやポンペイ、ベスビオ火山を舞台にしているが、遺跡の発掘に携わる日本人との出会いによって視点が変わり、「文化同士の出会いも描く作品になった」と話した。
 
 熊野については「現代社会で失われつつあるものが残っている。立ち止まって聞くこと、自分や相手について考えること、関係を築いていくこと。こういう時代だからこそ世界にとって必要なこと」と述べた。さらに前作「旅する教皇」でのローマ教皇の言葉「旅は人の内面を変える」という言葉を引用し、「熊野の旅も私の深い部分を変えようとしている。今後、熊野を題材にした作品が生まれるかもしれない」と述べた。
 

      新宮市

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