国土交通省近畿運輸局勝浦海事事務所は27日、新宮市南桧杖の係留所で、熊野川の川下りツアーに使用される木造船3隻の安全点検を実施。定員分の救命胴衣など必要な設備が備わっていることを確認した。
国交省は13日から8月31日までのレジャーシーズンを「小型船舶に対する安全キャンペーン」期間と位置付け、河川特有の複雑な流れにより転覆のおそれがある川下り船の点検を全国的に行う。
熊野川のツアーは、同市熊野川町田長の道の駅から熊野速玉大社付近の河原までの約17キロを運航するコースで、一般財団法人熊野川町ふれあい公社が運営。悪天候時を除けば3月から11月まで毎日運航し、開始以来21年間、無事故を継続している。
点検では、船頭3人に対し職員が聞き取り調査を行うとともに、設備の場所などをチェックした。点検を受けた船舶は「熊野川7」「熊野川8」「熊野川9」で、いずれも進水後4~6年程度と新しい。同公社によると、老朽化したまま運航しないよう、10年をめどに新型を導入するという。船頭らは「乗客の定員は12人だが、外国人観光客など体格の大きい人もいるため、安全性を考えて毎回8人程度で受け付けを終了している」などと説明した。
勝浦海事事務所の阪口裕士所長は「おおむね良好。川下りを満喫してもらうためにも、事故なく安全に運航して」と総括。重ねて、「川の流れが急に変わったり、気象状況が悪化したりする。緊急時の体制構築を徹底してほしい」と呼び掛けた。
同公社の伊藤順司理事は「日ごろから実施している点検を引き続き行い、安全運航を心掛けたい。乗客に対しては、危ないことをしないで、語り部や船頭の言うことをよく聞いてほしい」と話した。併せて、エンジンが停止した場合を想定し、竿(さお)のみで操縦する訓練なども実施。船頭の熟練の技で、同日朝までの雨で増水していたにもかかわらず、問題なく進んだ。
国交省は、2011(平成23)年8月に静岡県浜松市の天竜川で発生した川下り船の転覆事故を教訓に、「川下り船の安全対策ガイドライン」を策定。運航責任者に対し、危険箇所の把握や定期的な船舶検査を求めるとともに、ガイドラインに沿った措置の実施状況を点検している。同事務所によると、航行中のエンジン停止や落水事故等は、策定後報告されていない。
