“第一人者”湯浅さん語る
新宮市は25日、市役所別館で「こども食堂セミナーin新宮」を開催した。約80人が参加。地域コミュニティづくりの拠点として全国的に取り組みが行われているこども食堂を考える講演会で、講師に認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長の湯浅誠さんを迎えた講演と、地元で活動を行う団体関係者や行政関係者を交えたパネルディスカッションで、こども食堂の機能や役割、大切さなどについて具体的な事例を交え語り合った。
はじめに田岡実千年市長があいさつ。湯浅さんは「こども食堂の第一人者」と語り、「(こども食堂は)食べることに困っている子どものためだけでなく、高齢者や地域の方々とのコミュニケーションの場としても大変有益。多世代交流や地域課題に取り組む基盤としてのこども食堂の可能性についてもお話しいただけると期待している」と話した。
その後、湯浅さんが講演。こども食堂は食べるのに困っている子どものためだけのものではなく、人口が減る中でつながりも減っており、それを維持するために自分にできることをやろうと立ち上がった住民が行っている活動の一つだと説明。
全国の事例を写真や動画で紹介しつつ、こども食堂によって高齢者と子どもの触れ合いが生まれたり、移住者が地域の人と触れ合える機会となったり、子どもの自己肯定感や社会性が有意に高まるという研究結果があったりと、その効果を語った。
また、「平時のつながりと非常時のつながりは結びついている」として、災害があった地域では、普段のつながりの重要性に住民が気付くことからこども食堂が増える傾向にあることも紹介し、全国的に広まってきたことも踏まえ「こういう場所ができてきたのは日本の底力。こういう活動をしていると、世の中捨てたものじゃないなと思う」と話した。
また、こども食堂は現在の人という“横”のつながりだけでなく、今の子どもが大人になって「自分も地域の人に面倒を見てもらったな」と思い、恩返しを考えるようになってバトンをつないでいく“縦”のつながりもつくるものと語り、「それぞれが『これくらいならできるかな』と考え、居場所づくりやこども食堂に関心を持ってもらいたい」と呼び掛けた。
その後、パネルディスカッション。市内でこども食堂を行うきっちん・クローバー代表の炭屋正志さん、三佐木こども食堂代表の丸谷昌良さん、支援団体である和歌山県こども食堂応援ネットワーク会長の岡哲司さん、行政からは和歌山県東牟婁振興局の鳥羽真司局長と新宮市の田岡市長が登壇。湯浅さん司会のもと、各団体の事例報告や行政の取り組みの紹介などを行った。