「暑い夏を健康に」
新宮市の熊野速玉大社は3日、同社境内にある双鶴殿で彩絵檜扇(さいえひおうぎ)の蔵出しを行った。14日(日)に営まれる「扇立祭」を前に、虫干しを兼ねて、檜扇を収めている箱から7握(あく)を取り出し、巫女(みこ)が台座のほこりを払うなどした。檜扇は数日間、外気に当てた後、祭り当日まで再び箱に収納し保管する。
現在、日本には国宝の檜扇が18握あり、うち11握が同大社に伝わる。檜の薄い板の木目の美しさを生かして彩色、金箔、銀伯が施され、室町時代から「熊野檜扇」として伝わっている。
現在神事に使用している檜扇7握は1964年に杉本義夫さんが模写し、鮒田和道さんが奉製したもので、本殿の速玉宮のみ、先々代の上野殖宮司が模写したものを祀(まつ)る。檜扇のサイズは、本殿用の大きいものが高さ1.5メートル、幅1.65メートル。各社殿の6握は、高さ80センチ、幅1.3メートル。それぞれに色彩豊かな図柄が描かれている。
濱中孝成禰宜(ねぎ)は祭りに向け、「コロナなどの疫病が流行らないという思いと、皆さまが暑い夏を健康に暮らせますように」と話した。
なお、扇立祭は14日(日)午後5時30分に神事を行う。