「さらに楽しく使える丹鶴ホール」を目指した文化芸能イベントが6月30日、新宮市下本町の丹鶴ホールであった。主催はあしたもハレヤ!(関康之代表)とFM新宮(北道江利代表)。フラメンコやコーラス、踊り演舞など、さまざまな団体による発表で温かく華々しいステージを披露した他、佐藤春夫、西村伊作、中上健次について関係者が語る「熊野三文化人パネルディスカッション」も行った。
客席装置や舞台など、施設機能をより全開に近い形で使えるのではないかという提案と、世界遺産登録20周年を機に熊野が生んだ3人の文化人を改めて顕彰する目的で初開催。
熊野三文化人パネルディスカッションは「進取の気風、反骨精神、そして寛容性と包容力」をテーマとして行った。コーディネーターは新宮市立佐藤春夫記念館の辻本雄一館長。パネラーはそれぞれの文化人に見識の深い3人で、佐藤春夫については秋刀魚の会会長の東芳史さん、西村伊作については西村記念館・旧チャップマン邸の会事務局長の西山修司さん、中上健次については熊野大学前事務局長の森本祐司さん。
東さんは、佐藤春夫の詩を音楽と融合させて、若い人たち・全国にアピールするため一昨年に結成した秋刀魚の会の取り組みを紹介。また、佐藤春夫のリズミカルな詩を学校教育にも取り入れることを提案した。
森本さんは、中上健次が酒の席で、近代合理主義の中で大切なものは「時間」であり、熊野という魅力ある土地に時間やお金をかけてでも行きたいと思わせることが大事ではないかと語ったエピソードを紹介。現在の状況を予見していたのではと推察した。
西山さんはそれに呼応して、人生の困難なども全て自分につながっていくという意味の、西村伊作の「すべてのこと 我に益あり」の言葉のように、熊野の交通の便の悪さも「益」になるとして、熊野の偉人から学べることがあるとした。
その他、森久美子フラメンコ舞踏団による情熱的なステージや、キッズコーラスなどによる合唱、近畿大学附属新宮高校・中学校吹奏楽部の演奏、ソプラノの歌い手・下岡有希さんによる独唱などさまざまなプログラムを楽しんだ。
踊り演舞では、
- カウイ オナラニ オハナ 高橋(フラダンス)
- Lucky Clover(ヒップホップダンス)
- ザ☆べんけいず(よさこい)
- 紀州舞踏隊(よさこい)
- Team雅龍(よさこい)
- あしたもハレヤ!(よさこい)
—と6団体が個性豊かで力強いパフォーマンスを披露し、盛り上げた。