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地元イベントで菓子販売へ 紀南高3年生が挑戦

 三重県立紀南高校では、11月の「りんご・みかん祭り」で発表するオリジナル商品の開発を進めている。探究活動を通じ、地域の発展について考える「地域創造学」を受講する3年生9人が、地元をモチーフにした和菓子やキーホルダーなどを考案。5日、町在住でPR映像の制作に携わる西村司さん(46)を招き、企画をさらに盛り上げるための知見を得た。
 
 
■「紀州犬」コンセプトに
 
 更屋百萌さんと中村綺花さんは、紀州犬をコンセプトにしたスイーツ『ましろ日和』を考え付いた。2人で作成した企画書によると、紀州犬の特徴である白い体を「ましろ」という言葉で日本らしいやわらかな雰囲気とともに表現し、「日和」で飼い主や信頼する人との強い絆をイメージできる名称とした。紀州犬は和歌山県から三重県にかけて原産とされる日本犬で、狩猟犬や番犬として活躍している。校舎のある御浜町とは縁が深く、紀州犬の先祖とされ、襲い来るイノシシから新宮城主を守った伝説のある「マン」を育てた弥九郎という男の墓が同町阪本にある。
 
 2人とも歴史への造詣が深く、「従順なことを示す伝説と、飼い主への愛情を持つ紀州犬の名前をアピールしたい」と考え、りんご・みかん祭りで商品販売を通じたPRに挑戦することを決めた。同イベントでは昨年度も当時の3年生らが『白のきずな』を販売。紀州犬をかわいらしくデフォルメしたイラストが描かれたパッケージや、ミルクの甘みが好評を集めた。先輩に続きたい思いがある。
 
 
■ダメ出しは期待の表れ
 
 西村さんは熱意と伸び代を見抜き、あえて厳しい指導をした。「紀州犬は本当にかわいいか疑問。猟犬なので、そのイメージはないのでは」と述べ、ブランド戦略上の不十分さを指摘。〝かわいい犬のスイーツ〟の競合の多さにも触れ「非常に魅力的だが、全国の観光地に無数に存在する。独自性がなければ、初見の観光客には伝わりにくい」と助言した。その上で、「マン」の伝承を手短に解説するテキストを入れるなど、2人の知識を武器にすることで「ただのお菓子からストーリー性のある土産へと昇華する」と提案。自身が映像づくりで意識する「ストーリーブランディング」の理念にも触れ、製品がなぜ、どのように存在するかに焦点を当てることで、熱心な共感者(ファン)を獲得し、一過性の話題となることを防げると説いた。約1時間に及ぶ講義の後半はやや高度な説明になったが、2人は西村さんとぶれることのない視線を交わし、理解を示した。
 
 
■勝負は7月以降
 
 現状は、趣旨に賛同し、商品を製造する地元の菓子メーカーを探している段階。目標スケジュールは7月から8月にかけて商品試作・検討、9月にパッケージデザイン、10月に製造と明確だ。中村さんは「ストーリー性を持たせたい。紀州犬を広めることで、御浜の名前が広がる」と改めて意欲を示した。観光促進と地域活性化を高校生に任せるという、〝無茶ぶり〟とも言えるカリキュラムの到達目標は、探究心と自立心を育むこと。国立ロンドン芸術大写真学科に留学し、独自のプロモーション映像で国内外の数多くのコンペで入賞を果たしたブランディングの大先輩の意見を採用するか、独自の道を行くかは、大人に近づきつつある少女たちに委ねられる。

      6月 6日の記事

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