新宮市の三輪崎区・佐野区・木ノ川区・蜂伏自治会と市が連携する地震を想定した避難訓練を追った。三輪崎会館では、市防災対策課の下川翔太さんによる防災出前講座が行われた。
下川さんは紀宝町の出身。大学卒業後は銀行に就職。だが、東日本大震災の惨状を目の当たりにし、自分にできることをとの思いから銀行を退職し、東北へ。中間支援組織で支援に携わった。東北で得たことを故郷で役立てたいと昨年4月、市役所に就職した。
下川さんは、岩手県釜石市の鵜住居地区にある小学校と中学校の児童、生徒約600人全員が無事避難した「釜石の奇跡」とは逆に、同じ鵜住居地区で川向側にある2階建ての防災センターに200人余りが避難し160人余りが死亡した「釜石の悲劇」に触れ、ハザードマップで避難場所、避難所を確認することの必要性を訴えた。
有事の際は普段、訓練で利用している避難場所も危険に晒される可能性がある。「釜石の奇跡」は、極めて周到な避難計画の結果であったと、防災教育と訓練の意義が再認識されている。
【茂】