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紀南抄「大好きな梅花」

 早春とはいえ、朝晩はまだ寒さが残る季節。そんな中、一足早くウメの花がほころんでいる。万葉の時代、花といえばウメを指したという。現代では主役は華やかなサクラに譲っているが、寒さに耐えながら枝先に白や紅のかわいらしい花を咲かせ、私たちに春の訪れを告げている。
 
 サクラが春の盛りにぱっと咲いて、ぱっと散る命であるならば、ウメは芯の強さを持ちながら静かに咲く命の形かもしれない。このような特徴から、花言葉は、気品、高潔、忍耐などを表す。
 
 人生はいつも、順風満帆とは限らない。思うように進まない時間や耐えるしかない日々もある。生きたくても生きられない人もいる。誰にも気づかれない努力や忍耐。それでもやがて花は咲くと信じて、今日も生きている。その積み重ねが命の営みである。そして見えないところで芽は膨らみ、厳しい季節を越えた先に花が開く。
 
 約30年前の高校生の時、書道部の文化祭の作品作りで、「梅の花」と書いた。凛と咲く大好きなウメの花を見上げ、本格的な春を前に、命について考える。
 
【織】

      紀南紗

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