ネットニュースでおもしろい記事を見つけた。温州ミカンの一大ブランド「有田みかん」の産地の有田川町で、23年前に廃線となった「有田鉄道線」の歴史を振り返るもの。全長わずか5.6キロの超ローカル私鉄である。
江戸時代からミカン栽培が盛んだった有田地域。江戸でも有田みかんは大人気だったそうで、当時は帆船で出荷していたという。明治に入ると輸送手段は鉄道に変わるが、有田地域では紀勢本線の延伸が遅れ、地元有志がせめて港までと開いたのが有田鉄道。
新宮鉄道が運んだ木材がそのまま、ミカンに取って代わったような歴史である。開業は大正時代初期の1915年ごろ。新宮鉄道の開業時期ともほぼ重なる。
大変にぎわった有田鉄道も沿線の人口減少などによって経営が悪化し、最末期には1日わずか2往復、沿線の高校の生徒の足となるだけに。廃線後の線路跡はそのまま、サイクリングロードとしてほぼ全区間が残っており、現在は高校生の安全な通学路となっている。
鉄道の黎明期には、このようにしてできた鉄道が日本各地にあったのかもしれない。
【織】
