新宮市の世界遺産・神倉神社例大祭「お燈祭り」が2月6日(金)、斎行される。お燈祭りは、古代以来の熊野山伏の伝統を今に残す神事。白装束に荒縄を締めた上り子(のぼりこ/あがりこ)と呼ばれる祈願者が、御神火を移した松明(たいまつ)を持って神倉山の山頂から急峻な石段538段を下る。2016(平成28)年3月、国の重要無形民俗文化財に指定され、国内外から注目を集める祭りとなった。祭典を目前に控え、本紙では特集紙面でお燈祭りについて紹介し、機運を高める。
祭りの本義 理解を 上野顯宮司の思い 神倉山に伝わるお燈祭りは、漆黒の闇の中で神様の火をいただく、火の神性を畏怖する原始の信仰を伝える祭り。「上り子(あがりこ)」と呼ばれる祈願者は、白い装束を着て、身も心も清らかにして御神火を待つ。自らの松明(たいまつ)に御神火をいただき、無事に下山する。早く駆け降りる、ましてけんかするなどは祭りの本義ではない。大松明には決して手を出さず、御神火を拝んでほしい。
このように祭りの本義を語り、祈願者のあるべき姿を示す上野顯宮司。松明の火は防火の観点から太鼓橋で消しているが、本来は家で待つ(籠もる)女性がこの火を灯(とも)して熊野神を迎え、酒迎え(サカムカエ=直会)をして喜びあった新年の儀式。毎年のことになるが、「暴力をなくし事故防止のために『上がる前は絶対に飲酒してはならない』と祖先たちが定めた戒めを、介釈も上り子も守ってこそのお燈祭りであることを、今一度心に強く刻んで参加してほしい」と呼び掛ける。
上り子は心身を清めるために豆腐、白い蒲鉾、しらす、白飯など、白い物以外は口にしてはならず、規定の白装束を身に付け、腹に荒縄を巻いて男結びにし、松明を持って飲酒厳禁で神事に臨まねばならない。厳しいしきたりと自己管理のもとにお燈祭りが行われていることを、初上がりの子どもたちも普段の生活と違う制約の中で我慢することを学び、真の上り子として成長していくのを願っている。
お燈祭りの魅力については、「御神体『ゴトビキ岩』の下で鑚(き)り出された御神火を神前にささげ、全身全霊をもって折り込む神職の姿、迎火用の大松明に灯された御神火が介釈に守られて中ノ地蔵へと下っていくその神々しさ、神聖でただならぬ気に満ちたあの緊張感など、身を慎んで上がってこそ、得られる大きな感動は熊野人の宝だと、皆がそう思っているはず」と語る。
また、安全な祭典の斎行を裏で支える、消防、警察、営林署などの関係機関、そして地域住民や事業所などへの感謝を忘れない。「この方々のおかげで歴史ある神事を後世に伝えられている。そのことを上り子はしっかり分かってほしい」と呼び掛ける。
安全のために
「お燈祭り事故防止協議会」は、注意事項や交通規制図を記載したチラシを作製し、関係各所で配布。事故のない祭り斎行のために、上り子一人一人の協力を呼び掛けている。
例年多くの上り子が、この歴史と伝統のある祭典に参加しているが、その中のごく一部に、泥酔者や粗暴行為を行う上り子がいることは残念だとし、世界遺産に登録され、全国的に注目を集めるお燈祭りがこれらの一部の上り子によって汚されることは誠に遺憾だとしている。
留意事項
- 上り子は自己責任で参加すること
- 飲酒者は上れないこと
- 子ども連れは必ず午後6時30分までに入山し、早めに山門奥に待機して子ども安全は保護者の責任で確保すること
- 開門時は絶対に押さないこと
- 入山は午後7時までで、事故防止上、上り子の数が多く危険と判断した時には入山制限を行うこと
- 松明の火は防火上の観点から太鼓橋で消すこと
- 飲酒・振る舞い酒の禁止
- 勝手にたき火をしたり、火気を持ち込んだりしないこと—など
【お燈祭り事故防止協議会】
神倉神社、神倉神社奉賛会、神倉青年団、新宮市観光協会、新宮小売酒販組合、新宮市立少年相談センター、新宮市自治会連合会、神倉農業実行組合、新宮警察署、新宮市消防本部(順不同)
