熊野速玉大社の例大祭「御船祭」に子どもから大人まで触れてもらおうと、「御船早船体験会」が9月28日に熊野川で行われた。家族連れら約100人が参加し、各出船区の早船に乗船。本番さながらにスピード感を味わったり、実際に櫂(かい)さばきに挑戦したり、楽しい時間を過ごしていた。
将来の漕ぎ手育成の狙いもある。各出船区の漕ぎ手不足は大きな課題。祭事では、御神体を乗せた神幸船を先導する役割を9地区の早船が果たす。早船がなければ祭事が成り立たなくなり、後世に継承していくために漕ぎ手不足の解消は至上命題となっている。
各出船区は9月から連日練習に明け暮れている。漕ぎ手らは本番まで1か月半ほど、“御船漬け”の生活を送ることになる。取材で話を聞くと、特に新人らにとって練習はきつく「全身筋肉痛です」と苦笑いする。一方で、大人になってもみんなで一つのことに熱中できるのが楽しいという声も多い。
参加には家族の理解も大切。それを踏まえると、魅力を体感できる今回のような体験会は有意義で、参加への後押しになるものだと思う。
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