ある人に言われた。私の紀南抄にはよく登場するワードがある。それは「当地方」だと。
紀南抄を書き始めたころ、先輩記者になるべく地元に関するネタを選ぶようにと教わった。「当地方」に関係ない事柄でも、視点や切り口を変えたりして何とか地元の話題に絡めなさいと。
実は「とうちほう」を変換すると、「倒置法」が最初に出てくる。それが何度も入力を繰り返すうちに、「当地方」とすぐに変換されるようになってきた。地元に関する話題を取り上げようとするあまり、「当地方」を乱用する事態になってしまっているらしい。
指摘されてからは、使用を控えたり、ささやかな抵抗で「紀南地方」と言い換えたりしている。「当地方」を目触りに感じた読者がいたら謝りたい。しかしできたら、地元愛の強さの現れと思って、多目に見ていただけるとありがたい。これからもなるべく、バラエティに富んだ地元の話題をピックアップしていけるよう努力したい。
寒さがピークを迎える中で、神倉神社の例大祭「お燈祭り」が無事に終わった。当地方の春はもうすぐそこ。
【織】