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紀南抄「リモートか対面か」

 新型コロナウイルス感染拡大によって令和2年~令和4年の3年間は、「不要不急の外出自粛」による感染対策を何度も強いられた。その中で急速に発達したのがインターネットを活用した「リモート」の仕事や飲み会など、遠隔的な意思疎通の方法である。
 
 リモート飲み会は何回かした。家族や友だちなど、遠く離れていても互いの顔を見て飲めるのは素晴らしい進歩である。しかしやはり、実際に生身の人と会ってその場の温度感や空気を共有し、お互いのエネルギーに触れる体験は対面にしかなく、その点の違和感は拭えなかった。
 
 取材でも、なるべく電話取材よりも現場に行って直接関係者に話を聞きたい。電話で必要な情報のみ聞き取れば記事は書けるが、その後の展開がない。相手とも関係性は生まれないし、雑談から情報を得るということもない。何より、面白くない。
 
 無駄を省くと言う意味でリモートのやり取りは合理的な手段であるが、なんでもかんでも合理を優先しては本末転倒。効率を過剰に求める時代だからこそ、あえて時間や手間をかける心のゆとりがあってもよい気がしている。
 
【稜】

      紀南紗

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