紀南地方の魚は面白い。旅行や移住などで慣れない土地に行く時のひそかな楽しみのひとつは、スーパーの鮮魚コーナーだ。
北海道出身の自分にとっては、ムツやクエ、タチウオ、ハモ、アユなどが整然と並んでいるのがもの珍しく感じる。日によってはレンヤやシオなど、さらに見慣れない顔ぶれになっていく。逆に北海道で見られたハッサクやソイ、ツブ貝、ホッキ貝などは見られない。
当方がよく使うスーパーは、午後6時30分~午後7時の時間にタイムセールが行われ、多くの魚介類が半額になる。1人で食べるには多すぎる刺身などが300円以下で買える。
その地域のことについて知りたいと思ったときは、人に聞くことももちろん良いが、鮮魚コーナーを訪れることもおすすめしたい。そこにはその地域の気候や地形などさまざまな要因によって紐付けられた魚が陳列されている。どれだけ技術が進歩し情報化社会が加速し市場経済が発達しても、鮮魚はその日揚がったものが売り場に並ぶだけのシンプルな世界。鮮魚コーナーはうそをつかない。七輪を買ったので、次はアユの塩焼きを炭火で楽しむことに挑戦してみようと思う。
【稜】