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紀南抄「新生活を見守るサクラ」

 春の陽気に誘われてサクラの開花がぐんぐん進み、すでに葉ザクラとなっている所もある。黄緑色の葉っぱと薄ピンクの花びらのコントラストもかわいらしいが、やはり満開の内に楽しんでおきたいのが日本人。

 そんなサクラに今週末に試練が訪れそう。全国的に荒天となり、一気に散ってしまう可能性も。何とか生き延びた木々も週明けの暖かさで開花が進み、さらに来週末もピンポイントで雨予報。今年は花見をするなという神様のお告げだろうかと思いたくなる。

 新年度の始まりである春は、出会いと別れの季節。就職、進学、異動、転勤、退職などで、ガラッと生活環境が変わる人もいる。自分に直接変化はなくても、家族を通して出会いや別れを経験することもある。

 私自身にも今春、多少の出会いと別れがあったが、案外すぐ慣れてそれが日常になっていく。別れを惜しんだかと思えば、すぐに新しい出会いが待っている。環境の変化には期待とともに不安はつきものだが、サクラは今年も変わることなく、新生活を優しく見守ってくれている。

【織】

      紀南紗

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