「年波も怖いけど、何より人口が減るのが怖い」。地域づくりのリーダーがそうこぼした。長年続けてきたイベントに区切りをつけ、中止を決定した。継続に必要な人手が足りず、代表者になる人がいないからという。
人口が減ると社会のあちこちに深刻な影響を与える。生産年齢人口が減る一方の当地域では労働力のみならず、地域づくり活動やコミュニティーの維持にも弊害となる。
観光などで人を呼び寄せる「交流人口」に、最近は「2拠点居住」や定住せず地域と関わる「関係人口」という言葉もあるが、これらはよそから来る人に頼る活性化で、地元経済への波及効果は知れたもの。
やはり、そこに住む人を増やすのが一番だ。画一的な少子化対策や高齢者対策だけでは人口の維持すら難しい。求められているのは地域が将来に向けて持続できる戦略。成長産業を創出し、そこに労働力を集中して、足腰の強い地元経済をつくり上げることだ。「火力依存」の企業城下町と化し、自立できなかったあの半世紀を忘れたわけではあるまい。
(N)