「脱炭素」が社会のキーワードになっている。そのおかげで、ということになるだろうが、尾鷲や紀北など山地に新しいチャンスが生まれている。
私たちの暮らしは、化石燃料に支えられている。ガソリン、灯油、重油はもちろん、電力も火力発電や石炭火力など化石燃料由来のものがある。燃料だけでなくプラスチックなど石油関係製品がない生活は、もはや考えられない。
脱炭素は温暖化防止が第一の観点で、2050年までに二酸化炭素排出と吸収のバランスをとることが当面の目標。森林が多く工業地でない東紀州地域は、二酸化炭素の排出量より吸収量が多い。全国の工業地から、森が二酸化炭素を吸収する能力を購入したい、という申し入れを受けることになる。
藻場再生も、二酸化炭素吸収という観点で活用できるのではないか。聞いた話によると藻場の生産性は熱帯雨林並みとか。藻場再生にお金を出すことが、〝森を買う〟ことと同様になれば、企業からの出資が見込める。
もちろん、全国の同様の自治体と競争になる。どのように付加価値をつけていくか。行政には脱炭素の流れに乗りつつ、さらに一歩の工夫を期待したい。
(M)