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社説「新宮秋まつり 活気生む再構築を」

 新宮市の秋の風物詩として定着している「新宮秋まつり」。今月11日、今年も丹鶴ホールでの昼の部と、中央通りでの夜の部の2部構成で実施され、参加団体はエネルギッシュなダンスや、優雅な踊りで盛り上げた。主催する運営委員会をはじめ関係者の尽力に敬意を表したい。一方で、催しの中身とは別に、見物客の少なさが目立ったという声も聞かれる。その現実は直視しなければならない。

 祭りの内容が充実していても、市民への広がりが乏しければ、まち全体を包む高揚感は生まれにくい。税金を投入し、交通規制を敷いてまで行う市の一大行事にもかかわらず、参加者だけで完結する行事になれば、祭りは次第に内向きになり、地域のにぎわいを生むという本来の力を失っていく。単に開催すればよいというものではない。市民が集まり、沿道に人垣ができ、見て楽しい、歩いて楽しいと感じられる場であってこそ意味を持つ。

 運営委によると、参加団体に関してはコロナ禍で中止となった3年間を境に、高齢化や人員不足などを理由に参加を見送るところがあり、そのような団体に対して来年度は再度参加を呼び掛けていく。また、近大新宮高校・中学校のなぎなた部が今年度初参加し演武を披露したように、“踊りに絞らない”という観点で、学校等に参加を働き掛けていくのも新たな魅力創出の一つの手段になるとした。人の流れを生む会場設計も必要。昼の部から夜の部へ、会場から商店街へと自然に回遊できる仕掛けがあれば、にぎわいは点ではなく面となって広がる。さらに、大勢集客しているイベントを見ると、飲食ブースが充実している。老若男女問わず集客するには、飲食は欠かせないだろう。新宮秋まつりはこれまで、時代や状況に応じた見直しが重ねられてきた。伝統を守るとは、旧来の形をそのまま維持することではなく、地域の実情を見ながら内容を磨き直し、次代につなげることだ。

 新宮秋まつり後には、世界遺産・熊野速玉大社の例大祭で、国の重要無形民俗文化財に指定される「新宮の速玉祭」(毎年10月15・16日)がある。秋まつりがその前段としてまちの空気を温める役割を果たすなら、歴史と現代の催しを結ぶ意義はなお大きいが、近年は祭りムードに包まれるといった情景は見られない。のぼり掲出を渡御の順路だけでなく市内各所に広げたり、小中学校で例大祭に触れる授業をしたり、例大祭との結び付きを一段と鮮明にすべきではないか。

 地域の祭りは、参加者の満足だけでは続かない。見物客に選ばれ、市民に親しまれ、また来たいと思わせてこそ存続の力となる。新宮秋まつりを真に秋の風物詩として根付かせるためには、運営委をはじめ関係機関が現状に安住せず、創意工夫を重ねるほかない。参加する人も見る人も楽しめる祭りへ。活気を生む再構築が、いま強く求められている。

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