「警報級の大雨の恐れ」。先日、本紙はこのような見出しで報じた。本紙エリアで警報発令はなかったものの、備えることは大切。これから梅雨や台風シーズンに入る。今一度、災害への備えについて考える機会にしてもらいたい。
気象庁は、大雨災害をもたらす要因となる気象状況である「線状降水帯」に関し、半日程度前から危険があることを周知する呼び掛けについて、対象地域をこれまでの「地方」単位から「府県」単位に絞り込んで発表するよう変更した。危険が見込まれる地域を限定することで、該当地域の住民の早めの避難や対応につなげたい狙いがある。気象庁が今年2月に実施したアンケート調査では、線状降水帯の呼び掛けに対する認知度や活用実態は半数程度にとどまっており、一層の周知・啓発が必要。各自治体には広報紙などで繰り返し伝えることが求められる。
命を守るために避難行動と併せて大切なのが備蓄。各自治体は食料品や日用品など生活必需品を各所で備蓄しているが、どの場所にどの程度あるのか、知っている住民は少ないだろう。以前は自治会や自主防災組織の訓練で、賞味期限が迫る備蓄品の米や乾パンなどを試食し、新たなものに入れ替えるという取り組みがよく見られたが、コロナ禍中は訓練の開催を控えていたところが多く、点検が必要だ。
災害時の基本原則として「自助・共助・公助」がよく言われる。まずは自分の命は自分で守る。その観点からも、行政頼みではなく、各家庭での備蓄も進めなければならない。風水害や地震などの自然災害では、水道・電気・ガスなどのライフラインが寸断されることが想定される。たとえ自宅が無事で避難せずとも、早期の復旧は難しく、スーパーなどの店舗が機能しているかどうかも分からない。1月の能登半島地震で被災した特に奥能登地方では、5月に入っても4000戸で断水が続き、解消した地域でも水道が使えない住宅もあるという。発災直後は行政の支援が入らないことを想定し、飲料水を「家族人数×3リットル×3日分」確保してほしい。また、ポリタンクや浴槽に水を備えておけば、生活用水として使用することができる。誰でもすぐにできる対策なので、この機会に実践してもらいたい。