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社説「能登半島地震からの教訓」

 最大震度7を観測し、死者が200人を超えた石川県の能登半島地震。発災当初は被害の全容が分からないことに加え、救助や支援に向かう関係者も寸断された道路網により被災地になかなかたどり着けないなど、初動の難しさが見られた。その中でも近隣同士の「共助」により助かった命があったことが報じられていた。当地方では南海トラフ地震の発生が危惧されており、決して他人事ではない。災害時、まずは自助、そして共助が大切なことを改めて心に留めておかなければならない。
 
 今回の能登半島地震の被害を見ると、石川県北部の奥能登エリアに集中している。全国各地からの支援を比較的集中させやすい状況だが、先述したように道路網が寸断され、緊急車両の通行がやっとの状態。岸田文雄首相や石川県の馳浩知事は救援活動を優先するため、早い段階から不要不急の通行を自粛するよう呼び掛けていた。
 
 そのような中、ある国会議員の被災地訪問が物議をかもしているが、今は押し付けるような一方通行ではなく、政治家よりも実働部隊を望む被災地の意向に沿った支援が求められるのではないか。国だけでなく地方自治体でも姉妹都市関係などを理由に政治家が出向けば、現地で「接待」という余分な仕事が生じてしまう。昨今はSNSの普及により情報の入手・発信が容易となり、現地のニーズを把握した上で行動できる。被災地がある程度落ち着けば、政治家が出向き被災者の声を聞いてもらいたい。
 
 能登半島地震の被災地では、和歌山・三重両県の緊急消防援助隊をはじめ、医療関係者、自治体職員らが捜索や救援活動を行い、民間からもNPO法人和歌山災害救助犬協会が捜索活動にあたった。南海トラフ地震への備えが必要な当地方の住民に向け、ぜひ今回の現場を経験した人たちの話を聞く機会を作ってはどうか。今回の地震の犠牲者の多くは建物や家財道具で押しつぶされた圧死だったことを踏まえると、耐震補強や家具転倒防止金具の取り付けはまずできる対策と言える。
 
 また、能登半島と違う点は、南海トラフの場合、被害が東海から九州までの広域にわたるため、今回以上に公的な支援が入るまでに時間がかかる。地区で助け合って生き延びる準備が必要だ。

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