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社説「特殊詐欺被害に遭わないで」

 特殊詐欺による被害が相変わらず続いている。和歌山県内では今年、9月末現在で72件(前年同期比2件増)、被害額は計2億2337万円(同1億1757万円増)と増加傾向にある。一方、三重県内は上半期(1月~6月)で、前年同期に比べ件数は1.82倍の131件、被害額は1.56倍、約8390万円増の2億3470万円に上っている。

 手口は多様化しているが、料金未納などを伝え送金を迫る「架空請求詐欺」が変わらず多い。「今日中に手続きしないと裁判になる」などと慌てさせたり、金融機関や自治体、警察など肩書のある人をかたることで信用させようとしたり、さまざまなパターンがある。

 被害者の年齢層を見ると、必ずしも高齢者ではなく、若い世代でも被害にあるケースもある。「自分は大丈夫」と思っていても、急かされることで判断力が鈍り、犯人の言う通りに行動してしまい、あとで気づくこともある。犯人にだまし取られたお金は、コツコツ貯めた大切な財産。それが一瞬にしてなくなってしまう悲しさと虚しさは計り知れないもの。被害に遭わないためには自己防衛が何より大切になる。

 金融機関やコンビニエンスストアでは、警察からの要請で水際対策に努めている。慌ただしく金融機関へ振り込み、コンビニへ電子マネー購入に訪れた人は、誰にも相談することなく、犯人に指示された目の前のことしか見えていない状況だろう。「様子がおかしい」と思われる来店客に声掛けしたことで詐欺を未然に防いだケースもある。「最後の砦」として大きな役割を果たしており、店員(行員)から「大丈夫ですか」と声を掛けられた際は、助言に従って話を聞くのがよい。

 携帯電話やスマートフォンにショートメッセージが送られてくるケースもあるが、高齢者の場合、自宅の加入電話がきっかけになる場合が多い。留守番電話機能を使ったり、防犯機能の付いた電話も売られており、それらを活用したりするのも防衛策の一つになる。

 いろいろな手口も、全ては虚偽の事項を並べて伝えてくる。冷静に考えると不自然だったり、違和感があったりする。急かされても一度立ち止まり、家族や周囲の人、警察に相談することを約束事としてとらえてもらいたい。

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