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社説「事前準備と正確な情報」

 今月2日を中心に降った大雨では、和歌山市や海南市をはじめ県内の紀北地域で大きな被害が出た。本紙地域でも、家族や友人・知人が紀北に住んでいて心配だったという人もいるだろう。犠牲になられた方にお悔やみを、被災された方にはお見舞いを申し上げます。

 和歌山県北部から奈良県南部にかけて線状降水帯がかかり、激しい雨が長時間続いた結果、河川の氾濫や土砂崩れの被害が出た。報道される被災地の映像を見て思い出すのは12年前の紀伊半島大水害で受けた未曽有の被害。当時は台風本体の雨雲がかかる前にすでに大量の雨が降り、河川が増水し山腹が水を含んだ状態だった。多くの尊い人命を奪った山津波の光景は忘れることはできない。新宮市の高田地区では唯一の県道が寸断され孤立し、連絡手段もなく、市役所まで歩いて助けを求めた市民がいた。
 
 あれから毎年のように全国各地で豪雨災害が発生している。今回は同じ和歌山県内、それもどちらかと言えば雨の少ない北部での被害。気象の変化により、いつどこで起きても不思議ではない。備えは必ず必要になる。
 
 本紙地域の自治体の中には大水害を経験していない職員の割合が高くなってきたところもある。災害時の基本は自助・共助・公助の順番だが、住民への啓発や備蓄品の確保、避難所準備などの面で各自治体には責任を持って取り組んでもらう必要があり、職員一人一人が当時の教訓を振り返り、備えてもらいたい。
 
 災害の危険性がある時に命を守る行動をとるには、事前準備とあわせて正確な情報の入手が不可欠。新宮市は避難に支援が必要な市民を対象に戸別受信機の無償貸与を始めたが、予定枠数を超えたため抽選で当選者を決定した。戸別受信機は現在のところ、高齢者や全戸を対象とした配布は計画がない。市によると、あくまで防災情報発信のメインは、どこにいても確認できるメール・電話・ラインなどを推奨とのことだが、命に直結する市民サービスはほかの部分の予算を削ってでもしっかりと確保し、少なくとも希望者全員に行き渡るようにできないか。今月は各市町村で定例議会が開かれる。各議員には一般質問で、時流に沿った防災対策について当局と議論を交わしてもらいたい。
 

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