尾鷲市議会は改選後2年が経過し任期も早や折り返し。市財政のほか市民の厳しい視線を受けて前回選挙で定数を13から10に減らしたが、思わぬ副作用が出ている。
6月は正副議長らいわゆる役員の改選時期で、それに先立ち24日には議会の申し合わせ事項を見直す議会運営委員会、全員協議会が開かれた。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが変更され、県外への不要不急の外出を控えることなどを決めていたコロナ対応の申し合わせを廃止する必要もあったが、議員数が減ったことに伴い、明文で排除していた議長の行政常任委員会への所属、議選監査委員の委員会の委員長就任についての記述を削除することになった。議会改革全般および、議員定数見直しに関しても発言があった。
議員定数に関し「減らし過ぎ」という声があるのも事実。2019年秋から20年初めにかけて当時の市議が市民にアンケートしたところ273人中、「現状維持」(13人)と答えた人が76人で最も多く、次いで10人が72人、11人が42人だった。当時の議会は最終的に「市民の収入が減る。身を切る改革を進めるべき」など、市民の議会に対する厳しい目を意識し10人という結論を出している。
現状、賛否が分かれた場合、本会議では4対3で市の方向性がきまってしまう。昨冬は回避されたが、もっと問題なのはインフルエンザなどの感染症や風邪で欠席者が複数出て、定足数(5人)に足りず会議が開けないこと。5人でも議事は可能だが、多様な意見が担保されないのは明らか。
定数を見直すにしても、議会内の協議だけで進むものではない。前回同様、議会報告会などの機会をとらえて市民の意向を確認する必要がある。また、報酬の話も避けて通れない。
次回選挙を新定数で行うなら、半年程度の周知期間も必要。慎重審議を行うために、速やかに議論を始める必要がある。