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社説「棄権せず貴重な一票を」

 今回の統一地方選前半戦で、全国的に無投票の選挙が相次ぎ、議員のなり手不足が浮き彫りとなる中、和歌山県議選も全国の例に漏れず、全14選挙区のうち9選挙区で無投票当選が決まり、現在、選挙戦が行われているのは新宮市など5選挙区だけ。

 新宮市選挙区(定数1)は過去2回無投票が続き、選挙戦が行われるのは12年ぶり。今回も当初は無投票の可能性があったものの、直前で無所属新人の元新宮市議が政治生命をかけて立候補を表明し、選択肢を作った。実績と経験を訴えて4選を目指す自由民主党現職が迎え撃つ構図となり、9日(日)の投開票に向け激しい選挙戦を繰り広げている。近隣の東牟婁郡選挙区(定数2)や三重県議選の東紀州選挙区(定数3)も無投票だったため、現在、選挙戦が行われている新宮市の注目度は高い。
 
 県議は市町村議に比べて住民との距離が遠く、仕事の実態が見えにくいと言われることが多い。仕事内容は当局が適正に予算を執行しているかどうかの確認や、政策の提案、住民の声を届けるなど、基本的には同じ。これはどの議員にも共通して言えることだが、住民に伝えるところまでを仕事と捉え、努力が必要ではないか。今回、当選する県議には、"仕事の見える化"を図ってもらいたい。
 
 また、県議だからできる仕事としては、補助金や助成金など予算面でどれだけ地元に還元できるか。知事と地元首長とのパイプ役としての働きも求められ、国や地元選出国会議員に対する予算要求などの要望活動でも汗を流さなければならない。コロナ禍が落ち着き、各地で訪日外国人客の姿も増えてきた。知事は観光産業に力を入れるとしているが、紀南の中核都市である新宮市が周辺地域と連携を取りながら、観光業さらに関連事業者にも恩恵が広がるよう、そして、県全体の観光をリードできるよう、先導役を担う意気込みで仕事にまい進してほしい。
 
 選挙は民主主義の基盤をなすもので、自らの意思を政治に反映させる貴重な機会。選挙を行うにも税金がかかっている。有権者には、無投票ではなく、選択肢ができて選挙が行われることの意味を理解し、棄権することなく、それぞれの意中の候補に一票を投じてもらいたい。
 

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