新宮市議会12月定例会が開会し、初日の本会議で、議員発案として継続審査されていた、議員定数を削減する条例改正案は採決の結果、賛成5人、反対7人で否決となった。総務建設委員会で“否決”の判断が下されていたため、本会議での結果は想定内だが、反対討論の中でも「時間をかけて議論すべき」、「議員全員での協議がなされていない。現時点では反対」など、削減そのものを否定するわけではないとする意見もあり、議会改革の必要性を考える機会になったのは確かだ。
また、同じく議員発案で、議員が長期欠席した場合の報酬を減額する条例制定を求める案が出され、議会運営委員会で審議することになった。現行では、たとえ1年以上の長期にわたり疾病など自己都合で会議を欠席したとしても、月々の給与、賞与ともに満額で支給される。民間では考えられない厚遇で、税金を納める市民の感情からしても理解は得られないだろう。過去、これに該当するようなケースがあったにもかかわらず、当局も議会も“黙認”してきた。今回、発案した議員、賛成した議員からは、議員自らが襟を正して、これまでの慣習を踏襲するのではなく、社会情勢や市民感情を踏まえて議会を運営していくというメッセージが読み取れる。
新宮市議会事務局によると、長期欠席に伴う報酬減額に関する条例を制定しているのは、和歌山県内で白浜町と日高町のみで、市ではないという。近隣では三重県尾鷲市が平成24年12月に条例を制定。欠席が90日~180日で2割減額、180日~365日で3割減額、365日以上で支給なしと定めている。尾鷲市議会事務局によると、これまでに適用例はないとのことだが、市民への説明はつく。
働いた分の対価を下げる必要はない。必要以上に報酬額を下げれば、それこそ議員のなり手がいなくなる。住民の代表である議員の仕事を魅力あるものとして認識してもらうためにも、ある程度の報酬額は確保すべきではないか。
議会改革は、現場で活動する議員の考え、市民の声、近隣自治体の動向など、いろいろな要素を踏まえながら議論していく必要がある。今回の2件の議員発案を“好機”と捉え、真剣な議論を期待したい。