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社説「公金の取り扱い慎重に」

 住民から徴収した税金で運営する行政。あらゆる住民サービスを行うにあたりこの税金が投入されるが、職員はその際に公金(みんなのお金)であるという認識が欠如してはならない。行政が直接的に行う事業であれば自らの管理でお金の動きが見える状態だが、事業実施主体への補助金や助成金になれば、支給後の動向が不透明というケースも少なくない。

 先日、新宮市の佐野区で、区から団体に支給している活動助成金に関して、個人による不正横領の疑いが強まったとして区民総会でその経緯や対応について報告があった。活動助成金は区民や賛助区民である区内の事業所から徴収した区費が充てられている。いわゆる公金で、この団体から警察への被害届も提出されており、区の役員は区民への報告が必要と判断した。
 
 区民からは、活動助成費の支給が現金での手渡しという手法について問題視する発言があり、区は今後見直す考えを伝えた。同区では他団体も含め、これまで活動助成費の支給は現金手渡しが慣例だった。前の区長が就任以降は支給時に事業計画書など必要書類の提出を求めたが、報告書や決算書など“事後”についての調査・報告は受けていなかった。
 
 また、山口県阿武町で、4630万円の公金が誤って町内の男の口座に振り込まれた問題で、町の管理態勢などに批判や疑問の声が相次いでいる。自分たちが納めた税金がずさんに管理されていれば、住民(納税者)が怒るのも仕方ない。同じようなミスが当地方の自治体でも起こらないとは限らない。公金を扱う職員は慎重に、そして不正やミスを起こさない管理態勢を構築することが大切になる。
 
 各自治体では毎年度、さまざまな補助金や助成金を拠出している。全国を見ると、補助金の不正受給といった問題がたびたび報じられており、まずは事前審査を十分に行うことで不正防止を図ることが求められる。一方で、毎年度定額を支給しているようなケースでは、例年通りという考えで職員の作業も機械的になりやすいが、そのようなものこそ注視しなければならない。特にここ2年はコロナ禍で例年通りの活動ができていないことも考えられる。使途が不透明なもの、活動実態のないものなど、一度見直すタイミングではないか。
 
 公共性のある活動や地域活性化を願い活動を行う団体・個人にとって、補助金や助成金はなくてはならいもの。現在も大多数が適正に受給し、活動していると思われるが、身近であった不正や自治体で起こり得るミスが示されたことで、行政とともに公金を扱う大切さを再認識する機会としてもらいたい。
 

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