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社説「乗りたい鉄道路線への取り組みを」

 JR西日本はこのほど、1キロ当たりの1日平均利用者数が2000人に満たない30区間の収支を公表した。新型コロナウイルスで利用者が激減する直前の2019年度で、近辺では紀勢線白浜—新宮間と関西線亀山—加茂間が含まれ、大量輸送という鉄道の特性が十分に発揮できていない区間として、まちづくりや線区の特性・移動ニーズを踏まえて、鉄道の上下分離などを含めた地域旅客運送サービスの確保に関する議論や検討を幅広く行いたいとしている。

 民営化の際に鉄道事業で赤字が想定された「3島会社」と異なり、新幹線や大都市圏を持つ「本州3社」の一つが公表に踏み切ったことは、コロナによる新幹線や都市部の利用減が大きく影響し、赤字路線を支える構図が崩れ始めた。

 JR東海は収支を公表していないが、国土交通省の令和元年鉄道統計年報によると、2000人以下は4路線。最も少ないのは名松線の287人だが、それに次ぐのが紀勢線の1721人。ただし亀山—多気間を除けば利用者が相当少ないのは想像に難くない。

 「鉄路の維持は社会的使命。赤字という理由だけで廃線にすることはない」。09年に台風で不通となった名松線の家城—伊勢奥津間でバス転換への議論が出た際のJR東海。東海道新幹線という圧倒的なドル箱を抱えているとはいえ、紀勢線は特急でさえ閑散期には2両で、何とか運行本数を保っている状態で心もとない。

 SLのほか、全国の引退した車両が走り「動く鉄道の博物館」と称される大井川鐵道の取り組みは際立つが、全国では景色や料理を題材にした観光列車や、車体にデザインを施したラッピング列車、自転車が持ち込めるサイクルトレインなどさまざまな取り組みが行われている。

 高速を含めた道路網の整備が進み、人口減少が著しい当地方。鉄道を存続させるには地域住民も可能な限り利用することは必要だが、限界はある。鉄路を残すために、地域の資源で何が生かせるかを洗い出し、JRに提案したり協働したりして、「乗りたい路線」にする取り組みも必要ではないか。

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