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社説「自動車用避難場所の検討を」

 これから秋にかけて本格的な台風シーズンに入るが、長野県では6月8日、水害時の新型コロナウイルス感染症対策の一環として「—車で避難・安全確保—避難場所マップ」をホームページで公開している。水害の警戒レベル3「避難準備・高齢者等避難開始」、同4「避難勧告・避難指示(緊急)」発表時に、感染を懸念して避難をちゅうちょしないように、国立研究開発法人防災科学技術研究所協力の下、同県が6月1日現在の市町村からの情報を基に作成している。

 地図上にある車のマークをクリックすると市町村名、施設名、住所、対象とする災害種別、想定収容台数、付随施設を表示。例えば、洪水や崖崩れ、地震、大規模な火事の避難場所となっている長野市の城山公園は、想定収容可能台数125台、公衆トイレ、自動販売機、街路灯があると明記。長野県内10の地域振興局単位で一覧表も見ることができる。
 
 車での避難に当たっては、交通事故に気を付けることはもちろんだが、特に懸念されるのがエコノミークラス症候群。「食事や水分を十分とらない状態で、車の中など狭い座席で長い間同じ姿勢をとっていると、肺塞栓や脳卒中、心臓発作などを起こす恐れがある」として、大雨の中でもできる足首などの運動や、水分を十分にとること、ゆったりした服でしめつけないようにすることなどのポイントも紹介している。
 
 また、広島県東広島市では東広島運動公園など6つの自家用車用避難場所を設定し、埼玉県東松山市でも自家用車を使った一時的な避難場所として埼玉県こども動物自然公園駐車場など3か所を公表している。
 
 1台でも多くの車が確保されれば自主防災会などでの共助にも使える可能性もあるが、他人の土地へ無断で止めるわけにいかないし、道の駅などは大規模災害時に活動拠点となることから、駐車車両の撤去を求められる。
 
 当地方には休校や廃校になった学校施設もあるし、使っていない土地なら所有者と協定を結ぶこともできるのではないか。自動車で避難できる場所があるのかを調査し、あれば周知することも必要。万一に備え、先進的な取り組みを参考にすべきではないか。

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