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社説「貯金使い思い切った支援を」

 紀南の中核都市を自負する新宮市が、新型コロナウイルスの支援策で近隣市町村に後れを取っている。3期目のベテラン田岡実千年市長が就任当初から掲げる「市政は市民のために」が今回の新型コロナ対策では実践されていない。支援策として打ち出した「飲食店等への10万円給付」が市議会で”否決”されたのは、リーダーシップを十分に発揮できず、コミュニケーション不足だったからだ。

 本紙エリアの自治体の対策を見ると、那智勝浦町の3000円分商品券配布を皮切りに、太地町はマスクと米の配布、北山村、古座川町、串本町でもマスク配布。田辺市は売り上げが前年同月比30%以上減少した飲食店など小規模事業者に一律10万円を給付することを決めた。三重県は休業要請に応じた事業所に協力金を給付し、紀宝町は県の支援策に漏れた事業所を町の独自支援でカバーする。熊野市も1人あたり1万円分の商品券を配布する。
 
 新宮市の「飲食店等10万円給付」が認められなかった理由は「公平性が保てない」ということだった。一方で、同様に第1弾の支援として発表した水道料金5月請求分(4月検針分)を全額免除とする支援は認められた。基本料金に少し上乗せした程度で収まる市民と、使用料の多い事業所の料金では大きな格差があるが、議員が指摘する公平性という観点で問題はないのだろうか。自治体によれば基本料金のみを数か月にわたって免除しているところもあるが、新宮市は1か月に限っての支援。不満の声を上げる市民はいる。
 
 飲食店関係者は、もらえると思った10万円が入らずぬか喜びに。家賃等の固定費に関しては、休業要請を受けるも補償がないなかで頭を悩ませている事業主は多い。兵庫県明石市は、新型コロナの影響で休業した個人商店などに対し、無利子・無担保で2か月分の家賃を貸し付ける。新宮市内のあるテナントのオーナーは、入居する飲食店の家賃1か月分を無料にした。
 
 一般家庭で生活が苦しくなれば貯金を切り崩してしのぐのが普通。新宮市も非常事態のいまこそ、貯金(財政調整基金・令和元年度末残高24億円)を市民のために使うときではないか。花火大会をはじめ予定していたイベントも中止となり、その分の予算を回すこともできる。ほかより遅れた分、思い切った支援策に期待したい。

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