ドローン開発会社の(株)空解=東京都町田市=はこのほど、プロペラ機型の機体「QUKAI FUSION 2.0」を開発し、5日、那智勝浦町上空を飛行した。土砂災害被災地の広域調査を想定した実証実験の一環で、機体に搭載された360度のパノラマ撮影が可能なカメラで一帯の撮影に成功。視察した国土交通省近畿整備局は「有用性を確認した」と評価し、実用化を示唆(しさ)した。
同機は滑走路を必要とせず、垂直での離着陸が可能。動力はバッテリーで、1回の飛行で最大45分程度、往復約90キロ航続できる。空力面で抵抗を減らしたデザインのため、100キロ近い速度で飛行する。事前に北海道の十勝岳で飛行した際、高度2000メートルまで達したという。
機体は同町市野々の大門坂駐車場周辺を発着。瞬間風速40メートルまで耐風し、内部で充電も可能なソフトバンク(株)製の「ドローンポート」から離陸した。那智川沿いに順調に飛行を続けると、地上のモニターには随時、リアルタイムで上空からの映像が映し出された。同社によると、画質は現行の技術で最高の8K。録画した映像をパソコンに取り込むと、マウスで視点を自由に動かせる。
森田直樹代表取締役は「バッテリーを付け替えるだけで長く飛行できる。広範囲で、長時間、迅速に、情報を収集する」と説明した。
国交省によると、5日時点で自治体での導入の事例はないが、同省紀伊山系砂防事務所の担当者は「災害で甚大な被害が起きた際、重要な視覚情報を得られる。行政だけでなく、地域住民に映像を公開することで、現状を把握し、被災後の判断を下せる。有用な技術だ」とした。
同様の実証実験は全国初。同社と国交省は有事の際に車両の通行が困難な状況を見越し、上空からの映像の活用を目指している。
