那智勝浦町那智山を拠点に修行を行う「熊野修験」(大導師=髙木亮英・那智山青岸渡寺住職)は10日、「那智四十八滝回峰寒行」を始めた。この日と17日の2日間で、那智山地区にある48の滝を巡り、世界平和と人々の安寧を祈る。
毎年、二十四節気の小寒(6日)から大寒(20日)ごろまでの時季に行っている寒行。那智四十八滝は、平安時代から明治時代初期まで修験道場の中心だった。その後、1872年(明治5年)の修験道の廃止に伴い、滝の正確な位置が分からなくなっていたが、1991年(平成3年)に木大導師らが古地図などを元に山中を調査し、1992年(同4年)年に寒行を復活させた。
聖域の「那智原生林」を含む吉野熊野国立公園は2月に指定90周年を迎える。節目となる今年の寒行には、髙木智英・那智山青岸渡寺副住職が先達を務める中、東京、愛知、大阪など各地から20人の山伏(修験者)が集まり、普段は立ち入ることのできない聖域での修行に臨んだ。
初日の寒行は、夜明け前の午前6時、青岸渡寺本堂で勤行後、那智山行者堂にある修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)の像の前で読経し、ほら貝を吹き鳴らした。その後、一の滝の「那智の滝」から順に巡った。
髙木大導師(住職)は「今年も寒行を迎え一年が始まる。那智の山で生まれ育ち、滝を見ながら修行を続けた。熊野信仰は那智大滝を中心に社や寺があり、今は代表的な観光地で世界的な注目も集めている。滝なくして那智山の聖地霊場は成立しない。感謝の気持ちをもって修行に臨んでほしい。世界平和と人々の安寧、そして今年一年が平穏で、皆さんに幸多きことを願いたい」と話し、一行を見送った。
髙木先達(副住職)は今回も事前に道の確認・整備を行ったとし、「全国各地から山伏の精鋭が集まった。一年の始まりとしてしっかりと寒行をおさめたい」と意気込みを語った。
