熊野速玉大社(新宮市)で24日、熊野本宮大社(田辺市本宮町)で23日、「文化財防火デー」に伴う防火訓練があった。それぞれ大社の自衛消防隊が消防署などと協力し、歴史を伝える文化財を火災から守るため、実践的な訓練を行った。毎年1月26日は、文化庁と消防庁によって昭和30年から「文化財防火デー」と定められている。これは、1949年(昭和24年)1月26日に現存する世界最古の木造建造物として有名な法隆寺(奈良県)の金堂が炎上し、壁画が焼損したことに基づく。毎年、この日を中心に各地で文化財防火に向けた運動が行われている。なお、熊野那智大社(那智勝浦町)も26日(日)に防火訓練を予定している。
■熊野速玉大社
大社自衛消防隊、新宮市消防本部、市消防団丹鶴分団、丹鶴婦人防火クラブなど計35人が参加。八社殿裏の林からの出火を想定して、神職らが6つ中3つの放水銃とホースで初期消火を試み、後から到着した消防隊員・団員らがさらにホースで放水した。また、各社殿から国宝類などの文化財を運び出す訓練や、鍵のかかった倉をこじ開けることを想定してのチェンソーによる鉄パイプの切り落とし訓練、消化器の取り扱い訓練も行った。
上野顯宮司は「文化財だけでなく、地域の防災の象徴としてこの訓練がある。どのように実践につなげていけるかが、この訓練の一番の眼目」と話した。
■熊野本宮大社
大社自衛消防隊、田辺市消防署本宮分署、田辺市消防団本宮支団、行政関係者など計約50人が参加。宝物殿裏の森林から火災が発生した想定で、自衛消防隊が消火器やバケツリレーで初期消火を試みるも社殿の方へ燃え広がったと見立て、最後は6つの放水銃と消防隊・団による放水を行った。また、宝物殿から文化財を運び出す訓練も行った。
九鬼家隆宮司は「世界遺産である社殿はもちろん、宝物類もしっかりと意識を持って守っていきたい。海外の人も避難できるよう注意喚起したい」と語った。