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社説「地域医療 本気で考える時」

 少子高齢化の進展は、さまざまな行政サービスを見直す機会と捉えなければならない。少子化への対応として学校の統廃合が進んでいる。子どもの学び舎だけでなく、地域のコミュニティの拠点となるだけに、どの自治体でも時間をかけて丁寧に議論している。

 高齢化への対応はどうか。新宮・東牟婁圏域は、和歌山県で最も高齢化の進んだ地域で、今後85歳以上の人口が増加する一方、地域の全人口は減少し、医療需要や介護需要の変化が見込まれる。また、生産年齢人口の減少に伴い、医療従事者の確保も困難となる。
 
 先月、那智勝浦町で開かれた地域医療セミナーの講演では、医療は必須であり、地域住民の健康を守って向上することを目的とする一方で、病院の経営もある程度成り立たないと医療が提供できず、病院の経営が成り立つことも必須の条件だと指摘。そのためには、病院の体制を需要にあわせて変え、地域の中でどう役割分担し、連携するのかを再確認していく必要性が呼び掛けられていた。現状を点検して将来に備えなければならない。各方面からかねて声が上がる医療現場の再編や広域連携について本気で議論を前に進める時期ではないか。
 
 また、長年にわたり当地方で保健・医療・福祉の担い手として活躍できる看護実践者を育成することを目的に、新宮市医師会が運営してきた「准看護学院」は令和7年度から入学生の募集を停止した。少子化による若年層減少の影響で近年は入学者が減少し、経営が難しくなっていたことが理由。同医師会は「少子化に対し医師会単独で支え切ることは難しい」と苦渋の決断だったとした。医療従事者を地域内で育成することは将来への担保になる。その一端を担ってきた准看護学院の入学生募集停止の影響は大きい。
 
 何らかの対応が打てないか。県立なぎ看護学校を看護大学に“格上げ”し、今以上に各地から生徒が集まれば、医療従事者確保への期待と同時に経済効果も生まれる。この地域に大学設立という動きが昨年ごろから見られるが、最も重要な課題といって過言ではない「地域医療」を考えると、今ある看護学校の機能強化に力を注いではどうか。地元首長や議員には県当局に掛け合い可能性を探ってもらいたい。
 

      3月21日の記事

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