少数与党のため政策面での綱引きが激化し、当初予算に高校無償化が盛り込まれた。石破首相の「収入の多寡で教育の差がないようにする」の言葉は正論だが、住んでいる地域で教育格差がある現実は問題ではないのか、とは思う。子育て世帯の負担軽減に寄与するが、公立離れが加速して教育格差につながりかねない、との指摘もある。
本紙地域の県立高校の定員割れは常態化しているが、今年の後期選抜の志願状況の、尾鷲高の志願倍率0.40は衝撃的な数字。熊野青藍の0.91と比較しても、尾鷲から他地域へ高校生が流れていると推測できる。
若いころの思い出は、過ごした土地の愛着につながる。さらに定員は削られ統廃合が進んで学校がなくなれば、地域活性化の源泉である郷土愛を養う場を一つ失うことになる。危機感を新たにし、地域を巻き込んで、将来を担う人材を育てるような学校を目指せないか。県外から通いたいと思えるような学校になれば、必然的に地元の子から選ばれるようになる。
(R)