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紀南抄「『お燈祭り』で貴重な経験」

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今年のお燈祭りは一般の上り子の参加が中止となり、神職と介釈の限られた人数で神事のみ斎行した。昨年11月にそのことを発表したため、例年参加する上り子らに混乱は見られなかったものの、報道関係者も当日は入山することができないため、どのような写真を撮影できるか悩んだ。
 
 当日までの準備や祭典の流れ自体に変更はなく、当日は夕刻から介釈を務める神倉青年団員8人に同行した。例年なら街路に上り子があふれ、「たのむで」と松明を打ち交わす光景が今年は見られない。団員らも「こんな静かなお燈は初めて」と話しながら歩みを進めていた。
 
 御神火を授かる大松明は本来、山頂境内でともされた火を中の地蔵まで運び、そこで待つ一部の上り子に分け与え、そこで役目を終える。しかし、今年は麓境内まで火をともした状態で下りた。麓で待機していた当方も初めて見る光景に体が熱くなり、シャッターを切り続けた。神職や青年団員らが山頂の様子を、「御神火が勢いよく燃え盛った」と興奮気味に話しているのを聞いて、当方も貴重な経験ができたとあらためて感じた。
 
【F】

      2月 8日の記事

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