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紀南抄「大水害の教訓 いつまでも」

 紀伊半島大水害から14年が経過した。「あの日」は夜通し会社で待機しながら、市町村役場に問い合わせて情報を収集し、災害への警戒を強めていた。熊野川は前日に中流域(熊野川町日足)で氾濫したが、下流域(相筋~熊野大橋)でもいよいよ水があふれた。夜中に仲之町商店街がまるで川のように水が流れ、国道42号も広範囲で冠水。「大変なことが起きている」と背筋が凍った。

 夜明けを待って巡回すると、相筋地区にはすでに救助要請を受けた自衛隊が入り、浸水した住宅から避難が遅れた高齢者などを背負って出てきた。腰の高さまで水に浸かり、住民をボートに乗せて救出していた。

 那智川筋の被害が明らかになったのも夜が明けてからだった。那智勝浦町方面から出社する従業員からの一報。汐入橋交差点付近に流木が山積し、JRの線路も落ちていた。那智川筋を上流に進むと、土石流により家や車が流され、各所に積み重なっていた。まさに「山津波」のようだった。

 多くの尊い命が奪われた大災害。年月は過ぎても風化させてはいけない。教訓をしっかりと紙面で伝えていきたい。   

【F】

      紀南紗

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