「水害は『あっという間に来る』ということがキーワードだと思った」。紀伊半島大水害の教訓を伝える防災絵本「川がパンクしちゃった!もりのがっこうとどうぶつたち」が刊行された。那智勝浦町出身の地学者・後誠介さんが企画し、文は後さんが高校教師時代に教え子だった新宮市出身の黒川なおさんが担当。はる書房から出ている。
冒頭の言葉は、黒川さんの談。さまざまな資料や水害経験者の話の中で、特に何回も出てきたことが「あっという間」といワードだったという。
後さんはそれについて、目に見えないところで起こっていることを絵本に入れて、読み聞かせをする大人にも気付きになる物語にしたかったのだと力説した。堤防が何メートルあろうと、土砂が堆積していればその分だけ川底は上がる。見た目だけで油断してはいけないのだという。
自然は人の予想を超える。それは美しさという意味でもそうだし、命をあっさり飲み込むという意味でもそうだ。東日本大震災の前、誰があの大津波を予想できただろうか。用心しすぎて困ることはない。梅雨に入り、本格的な出水期を迎える。
【稜】
