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紀南抄「巣立ちの時」

 各地で卒業式が行わるシーズンになった。3日には新宮高校・新翔高校でもあり、取材した新宮高校では195人が巣立っていった。

 彼らが入学したのは2022年。コロナ禍の自粛から社会が「ウィズコロナ」として少しずつ動き始めた時だった。行事をやろうにも、先輩も経験していないことが多く、先生方も数年ぶりという中で、さまざまな困難を工夫と協調性で乗り切ってきた。また中学時代は„当たり前„にあったさまざまなことが、自粛の二字に埋もれていった世代でもある。思春期に経験した彼らにとってのコロナ禍は、大人にとってのそれとは違い、一生付き合っていくものなのかもしれない。失われた何かと向き合い続けたのだと思った。

 しかし卒業生たちの姿は、後ろ暗いものを感じさせない。友と別れる寂しさはあるだろうが、それ以上に、新しい進路への期待、制服を脱ぎ1人の人として生きていくことへの決意など、晴れ晴れしさが見えた。

 これから色んなことを経験していくことになるだろう。その全てが、それぞれの道になる。彼らの前途が広く、明るいものでありますように。

【稜】

      紀南紗

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