「私は自分の運命を恐れない。何があっても、私は自由に生きる」。オペラ「カルメン」のクライマックス、物語の主人公であるカルメンがドン・ホセに向かって言うセリフである。復縁を迫るホセにもらった指輪を投げ捨てた時、運命の瞬間が訪れる。
世界で最も人気のあるオペラのひとつ「カルメン」。魅惑の美女カルメン。その魅力に夢中になる生真面目な田舎出身のホセ。清純で心の美しいホセのいいなずけのミカエラ。三角関係に加わるのが、勇敢なスター闘牛士で生粋の色男エスカミーリョ。
まったく異なる境遇の4人だが、無難に幸せを手に入れられたかもしれない彼らはあえて、危険な道を選ぶ。人間が生きていく上で最善の道は真っ当に生きることか。それともリスクや茨の道をたどっても、自分の選択によって得られる幸せが最高の人生なのか。自由・不自由や善悪が複雑に絡み合う現代社会の中で、自分の運命や本当の幸せは何だろうかと深く考えさせられる。
自由奔放で、自分に正直に。できるものならば、カルメンのように生きてみたいものである。
【織】