言葉は暴走する。
ごく少数の誹謗中傷がその他大勢の無関心の前を通り過ぎてまるで全体の総意のようにまかり通り、はたまた多くの人が称賛している事柄は、絶対的な正義のように祭り上げられる。しかしそんな「正しい人」が不倫やら脱税やらと“やらかす”と、一斉に反転して害虫駆除のような総攻撃を仕掛ける。インターネットの世界で日々起きていることである。
ネットから離れ現実に目を向けても、うわさがうわさを呼び言葉が独り歩きするという事態はよく見られる。久しぶりに会った知人に私の近況をさも知っているかのように話され、しかもそれが事実と全く違った時には驚いたものだった。誤った情報だと伝えた後も、まちのうわさは正確なのだと言っていたため、これはたちが悪いなとぞっとした。
誹謗中傷によって自殺をする人がいる。言葉が人を殺すのである。面白がって発した軽い一言が、巡り巡って誰かを追い込んでいる可能性がある。今、このコラムも。なればこそ一層、相手の立場に立ってよく考えて言葉を使い、間違った時は素直に訂正できるよう誠意を尽くしたい。
【稜】