奈良県五條市のゴルフ場跡地の利活用を巡って、県と地元住民が対立している。県は当初、荒井前知事の肝入りで同所に「大規模広域防災拠点」を整備し、紀伊半島の防災拠点とすることを計画しており、地元住民も幾度とない県の説明を受け、土地の売却を決定した。しかし山下現知事になって方針が一転。防災拠点は橿原市に置き、同ゴルフ場跡地には非常用電源に使えるメガソーラーを整備しようとしている。地元住民は事前説明もないこの転換に猛反発しており、県議会2月定例会でも予算が否決された。地元理解の大切さがよくわかる。
これと対照的な事例が沖縄にある。本島北部のゴルフ場跡地を活用して来年オープン予定のテーマパーク「JUNGLIA」だ。官と民の違いはあるにせよ、こちらは対話を重ね、地元と一緒に進めている機運さえある。交通問題や商業志向などへの懸念の声は絶えないが、実際に大きな反発が起きていないことは評価できるだろう。
当地方でも、例えば高速道路建設のために立ち退いた人々がいる。互いの思いやりの心なくして、社会は明るい方向には進まない。
【稜】