凝り固まった身内の世界を一歩外に出たら通じないような常識を備えている人の話は、あまり頭に入ってこない。「井の中の蛙(かわず)大海を知らず」という言葉がある。外の広い世界を知れば、おのずと身近な人への感謝・尊敬とそれを示すための型・礼節が身に付くものだろう。それは人から教えられても、体感としてわかるものではない。自分から動いて獲得した身体感覚と感情の揺さぶりこそが理解であり成長であろう。
マイナスっぽい始まり方をしたこの文だが、最終的に伝えたいのは春を迎えて新しく環境が変わった人々への激励である。おそらく、これまでとは全く違うやり方・常識と対峙し、対話していくことになる。その時に、これまで身に付けてきたものの何を手放して何を大事にすべきかを、自分で考えて決めていくことと思う。間違うことがあるのは当然。ただ、自分で選んだということと、いつでも選び直せるということだけは忘れぬようにしたい。対話し吸収し切り離し繰り返す中で、世界が広がり己を知る。
大海の蛙も、きっと宇宙は知らないはず。可能性は無限大である。
【稜】