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紀南抄「平時にも利用できる避難タワー」

 那智勝浦町は南海トラフ地震による津波から逃れるため、避難困難地域に指定されている地区への避難タワー設置を順次進めている。これまでに宇久井区や下里区などに9基(町体育文化会館の屋上含む)を設置済みで、2024年度から2か年かけて勝浦漁港近くの築地区に設置するタワーで完了する。

 避難タワーといえば、平時は施錠されており、有事の際に鍵を開けて上るというものが一般的だが、新年度で予定する築地区のタワーはこれまでと異なり、平時は展望台として勝浦湾を一望できるものにする。場所柄、町民と観光客の避難も想定しているが、平時も観光に生かそうと考えた。

 一方、新宮市では避難タワーは1基もない。熊野地や三輪崎など沿岸地区から設置を求める声も上がっているが、少しでも海から離れて避難することを呼び掛けるとともに、現在整備中の新宮紀宝道路への避難も可能なことからタワー設置に前向きではない。

 今回、那智勝浦町が整備する施設では、国の有利な補助が受けられる。新宮市も平時に住民が利用できるものとして整備を考えてもいいのではないか。

【F】

      紀南紗

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