お燈祭りが終わり、気温も暖かくなってきて、当地方にもいよいよ春の兆しが訪れた。春は、物事を新しく始める決意の季節。進む道を新たに選択する人も多いのではないだろうか。
この地域で北海道出身であることを打ち明けると、よく「なぜここに」という質問をいただく。真正面から返答するとしたら、その理由は友がくれたアドバイスに由来する。彼は、私が進路を決めかねている時に、何の仕事をするかよりも、まず自分が仕事に何を求めているか、3つの柱を考えるべしと教えてくれた。自分はそこから「文章を書く」「人に出会う」「何かを伝える」という3つの自分にとって大事な価値基準を設けた。すると「新聞記者」だと、自然に導き出された。もし記者の仕事ができない状況になっても、3本の柱があれば、形は違えど自分の進むべき道を見つけられるだろう。今は遺言となったその金言を、私はお守りのように胸に持っている。
さまざまな選択が人生には訪れる。踏み出す時は、いつだって自分1人だ。小さな芽吹きが、やがて大輪の花を咲かせ、揺らがぬ大木となることを願う。
【稜】