文字入力の誤変換は時に、思わぬ世界にわれわれを連れて行ってくれる。日々の中で出てきた謎の変換を振り返りたい。
最近のお気に入りは、「底に向けた美人」。「そこに向けたビジョン」と打とうとしたが、味わい深い作品に仕上がった。なぜか私は、海底の砂場で、砂に向けて棒のように体を硬直させた美人の顔面をひたすら底に向け続けるという絵が浮かんできてしまった。これがシュールレアリスムか。
「みいつけた」と入力しようとしてなぜか「御稜威桁」となったものもある。調べると、「御稜威(みいつ)」とは天皇の威光のことを言うらしい。未就学児のかわいらしい内容を表現しようとしていただけに、物々しくてよくわからない四字熟語のギャップがすごい。
「選挙感知委員会」も魅力的。「選挙管理委員会」を誤ったわけだが、妄想が広がる。管理せずに「むむ、今、選挙やっているな」とただ感知だけして何もしないという平和で意味不明な委員会が想像できる。
物事は順序立てて想定の範囲内で進めるのが常だが、偶然性という想定外の中にも、思わぬ拾い物があるものだ。
【稜】