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紀南抄「彼岸花」

 少し前、彼岸花がポツンと1つ咲いているのを見かけた。刈り取られずに残ったものだったのだろうか。それとも一足早く秋の訪れを告げていたのだろうか。

 彼岸花は「触ったらだめ」とか「持ち帰ったら火事になる」などと言われていたので、子どものころから何となく怖いとか不吉なイメージがあったが、ネットで検索してみると、墓地に咲いている、火事を連想させる、花や球根に毒があるなど、同じようにマイナスのイメージを持っている人が多いよう。アニメや小説でも悲劇的なシーンに登場したり、暗い場面に効果的に使われたりしている。

 また別名が多く、1000以上あるという説もある。有名なのが曼殊沙華。私は、某女性歌手の歌が脳内再生されるが、美しくも妖しく、情熱的な雰囲気がぴったりだと思う。

 一方海外では、ガーデニングや切り花として人気だそう。ただ単に花として鑑賞する分には、緑の中に赤いじゅうたんが一面に広がる姿は見ごたえがあって圧巻である。これから各地で見ごろを迎える彼岸花。心を無にして花だけを楽しんでみたい。

【織】

      紀南紗

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